認知症と向き合い、もがく日々の記録。

認知症になった母と向き合う日々を綴ります。

切なくなる。

実家に着き、冷蔵庫に食料をしまってると
母が私に向かって話し始めた。

落ち着いた様子ではあったが、
どこか寂しそうな感じで

『遺言て訳じゃないけど
私がお父さんより先に死んで、
お父さんが誰かと再婚したいって
言ったら許してあげてね。』

それを話してる時の母は、
色々忘れてしまっている感じとは
違って見えた。

本来の意識が戻ってる状態だったのかも
しれない。

切なくて涙が出そうだった。
顔を見たら泣いてしまいそうだったから
届けたおかずを温めながら

『そんなこと言わないで、
二人とも健康で元気でいてよ。』と
答えたが、

『お父さんは寂しがり屋だから。
一人じゃいられないと思うから。
お願いね。』と言われた。


毎日のように繰り返す話は
昔の苦労話や
父に対する愚痴ばかりだけど、

半世紀以上連れ添った父への『情』は
深いのだろう。

いつだって自分の事は後回しで
父や私達兄妹を優先にしてきた
母らしい言葉だった。


その後しばらくすると
色々忘れてる
いつもの苦労話全開の母に戻った。


普段なら同じ話を聞くのはゲンナリするが、
今日は、元気に文句を言ってる方が安心と
思ってしまうほど

しょんぼり寂しそうな母を見るのは
切なくて辛かった。